1. 卒業 2. 石鹸(シャボン)色の夏 3. 青春 4. フィナーレの風 5. AXIA 〜かなしいことり〜 6. 白い炎 7. 上級生 8. 手のひらの飛行船 9. 感傷ロマンス 10. 雨のロードショー 衝撃的な出会いがいつだったのかはわからない。でもその “衝撃” は今でも覚えている。それは一本のCMだった....。 『ごめんね いままで黙ってて ホントは彼がいたことを...』 「AXIA」という名のカセットテープのコマーシャルで、この曲がTVから流れてきたのだ。ほんの十数秒だったろうから、ホントにこの部分くらいしか流れていなかったろう。でもそれだけで十分だった。背中で聞いて、ハッと振り向いて、しばらく止まってしまった。メロディと声と、そして言葉が頭から離れなくなってしまった。やがてそれが「斉藤由貴」という新人アイドル歌手だということがわかった。その数ヶ月前に「卒業」というデビューシングルが出ていて、TVにも出ていたはずだから、きっと彼女のことは知っていたはず。曲も聴いていたはず。でもこの曲をCMで聴いた日が、ボクが斉藤由貴に出会った日だった。 この曲のタイトルは「かなしいことり」。銀色夏生(ぎんいろなつを)という、当時は作詞家として活躍してた人(女性)の作詞作曲です。ある日TVを見ていた彼女は、「青春という名のラーメン」という名のカップラーメンのCMに出ている斉藤由貴と遭遇。“あの子を見てたら曲ができたので聞いてください”と、事務所にテープが送られてきたそうだ。普通レコード会社はそんな曲は取り上げないが、とにかくその曲に普通でない“チカラ”があったことは間違いない。結局それはレコーディングされ、CMに使われ、デビューアルバムのタイトル曲になった。ボクはそのTVCMで、斉藤由貴と銀色夏生という、ふたつの才能と同時に出会ったことになる。 『いつまでもこうしていたいけど 帰れないけど帰るわね これから誰を愛しても ふたりは胸が痛いのね』 と続き、 『やさしい言葉とため息で そっとわたしを責めないで... やさしい言葉とため息で そっとわたしを捨てないで...』 と、この曲は締めくくられる。 とても褒められるシチュエーションではないし、実際そんなことがあっちゃぁ困るよっていう世界だ。でもそれが良い悪いということではない。この曲を聴くボクにできるのは、ボクはそういうことが起り得る世界に生きているんだという、架空の現実を受け入れることだけだ。歌詞もメロディもアレンジもそれを歌う声も、もちろん全部の要素がひとつになった結果なんだけど、なぜそんなにこの曲にチカラがあるのか、今もって納得できる説明ができない。わかるのは、銀色夏生と斉藤由貴、このふたりの出会いがなければこの名曲は生まれなかったということだけだ。本当にいい曲というのはそれでいいのかもしれない。やたらとわかったような解説をされるよりも、そちらのほうが曲にとってもしあわせなことのような気がする。 デビュー曲の「卒業」は、詞:松本 隆、曲:筒美京平という、泣く子も黙るコンビの作。これはプロとして “さすが” の出来映えです。が、アルバムのあとの曲はまぁ、あまりお勧めしません。そういう意味で、これは典型的なアイドルのLPレコードだったのです。しかし、次のアルバムからは怒濤の名作が続きます。斉藤由貴本人が作詞でかかわり始め、少しずつプロデューサー的な役割も担っていったことと同時に、制作のために集められたアーティストたちが、斉藤由貴というキャラクター(素材)に惹かれて、彼女だけが歌うべき、完成度の高い作品を提供するようになったからです。これはもちろん、プロデューサー長岡氏を中心としたスタッフの功績なのですが、彼らにその道筋を確信させるものとしたのは、この「かなしいことり」だったと信じています。
by copain-eiji
| 2004-09-12 17:15
| ■CD
|
メモ帳
最新のトラックバック
フォロー中のブログ
カテゴリ
以前の記事
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||