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小川美潮 「小川美潮 +2」 (1984)

9/17(金)のライブは、ヴァイオリンの高橋香織さんの初リーダーライブでした。祥子の日記にもあったように、ボクらのお目当てはバックの3人。でも3人以外にもピアノ+ハモンド+ピアニカの吉森さんもよかった。

まずドラムの仙波清彦。邦楽/仙波流の家元でもある師は、芸大邦学部在学中に、パーカッショニストとしてフュージョンバンド、“スクエア”でデビュー、その後スタジオ・ミュージシャンとして膨大な数のセッションに参加。“はにわ...”というバンド数種のリーダーでもありました。「和風駄楽器」奏者の第一人者として、今も迷奏中です。ボクは実はパーカッションよりも、彼の叩くドラムが大好きです。

ギターの板倉 文は、テクノ全盛期にバンド “チャクラ” でデビュー、“キリング・タイム”で変幻自在摩訶不思議ぶりをさらに充実させ、CMや映画音楽も多数手がけながら、いまだに正体不明のセッション・ギタリストで通しているのは素晴らしい。どこへ行くのかわからない刺激的なギター、ボクは大好きです。

そしてヴォーカルの小川美潮。“チャクラ”でデビュー後は、セッション・ヴォーカリストとして“Wha-ha-ha”、“はにわ”、“キリング・タイム”、“本田俊之ラジオクラブ”ほか多数で活躍。CMでも、「すぐっ、そこっ、サンクスっ!」とか歌ってたりします。その個性的な声は、聞けば一瞬でわかります。

で、重要な出会いは小川美潮がきっかけだったので、彼女の最初のソロ・アルバムを紹介します。

小川美潮 「小川美潮 +2」 (1984)_a0030240_735873.gif




1. お〜い
2. 行っといで
3. 時計屋
4. ポテトロイド
5. おかしな午後
6. 光の糸、金の糸
7. 花の子供
8. これからのむこう (ボーナス・トラック)
9. へんなかさ (ボーナス・トラック)


1〜7までがオリジナル・アルバムの収録曲。最近のCD化で、翌年に出たシングルが追加収録されてます。ムーンライダースの白井良明がプロデュースだったことから、ボクはシングルの方を最初に聞き、その後でアルバムを購入しました。

シングル 「これからのむこう」 で感じた、小川美潮というアーティストの魅力、そのひとつは彼女の書く歌詞でした。(作曲はムーンライダースの鈴木慶一)

『生まれた ところへ ワタシヨブコエ
 帰ろう 帰りたい いちばんはじまりまで』

『おもしろいね 朝の空も夕暮れも燃える赤
 はじまりの色と 終わりの色はおんなじなの』

『次から次へ吹いてゆく この風のように
 わたしは旅をくりかえす これからのむこうへ』

 (「これからのむこう」より)

ボクはこの曲と出会うまで、日本語でこんなにポジティブな思いを抱いた歌詞を聞いたことがありませんでした。それを彼女のユニークな声が完璧なものにしています。自分が歌うための、自分が生きていくための歌詞を書き、歌っている人だ!、という感動とともに、小川美潮という才能と出会いました。その感触に確信を持ち、すぐにアルバムを手に入れました。

アルバム全体というよりは 「おかしな午後」 という一曲によって、小川美潮はボクの中でますます特別な存在になりました。この曲は、作詞:小川美潮、作曲:板倉 文というチャクラ・コンビ。当時は板倉 文という人についてはほとんど知りませんでしたが、これで 「いい曲を作る人だ」 と、認知しました。この曲の場合は、歌詞というより【曲】がポジティブなんです。「これからの...」の歌詞で感じたものと同じものが、この曲にはありました。曲はここに載せられないので残念ですが...。

この2曲と出会っていなかったら、現在ボクが作る音楽はもっと悲観的なイメージに根ざしたものになっていたと思います。そういう音楽に惹かれていましたし、当時のボクの中から自然に生まれてくるのは「暗い」ものばかりでしたから。だからこの2曲、そして小川美潮と板倉文のふたりとの出会いは、「ボクの音楽」にとっては大きな事件となりました。

「おかしな午後」は後年、映画『つぐみ』の主題歌としてもう一度レコーディングされています。
by copain-eiji | 2004-09-26 07:33 | ■CD


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