鈴木慶一とムーンライダース「火の玉ボーイ」(1976年)

a0030240_11132.gif1. あの娘のラブレター
2. スカンピン
3. 酔いどれダンス・ミュージック
4. 火の玉ボーイ
5. 午後のレディ
6. 地中海地方の天気予報〜ラム亭のママ
7. ウェディング・ソング
8. 魅惑の港
9. 髭と口紅とバルコニー
10. ラム亭のテーマ〜ホタルの光

(CDはボーナストラックあり)


ボクの人生を変えた2枚のレコードのうちのもう一枚が、この火の玉ボーイ。ムーンライダースというバンドについては、ピエール・バルーと同じで予備知識は全然なかった。ただ「ムーンライダース」という名前はどこかで聞いていて、なぜかずっと心に引っかかっていた。夜空に黄色い月が光っているのを見るのが今でも好きなんだけど、いつの頃からか月を見上げては「ムーンライダース...」と、ひとりでつぶやいていました。

本来はリーダーである鈴木慶一のソロアルバムだったけれど、ジャケットの表記を誰かが間違えてしまって、現在も活動を続けている(恐るべし)ムーンライダーズのファーストアルバムか? いや違うぞ! という微妙な立場に置かれてしまったこのレコード。でも、もしムーンライダースの名前がクレジットされていなかったら、ボクはこの日このレコードを買わなかっただろうと思います。うっかりミスか勘違いが不思議に導いた出会い。再発盤で値段が1,500円だったことも、少年の背中を大きく押してくれました。

さてこのアルバム、とにかく「いい曲」が多い。多すぎです。いいメロディと、風景を目の前に浮かび上がらせる歌詞、そしてアレンジの言いようのない無国籍感覚は、日本的でもありイギリス的でもありカントリー風でもある。おっとチャイナもあるぞ。はじめて聞いた時から、目を閉じてこのレコードを聴いている間は、曲ごとに見たことのないどこかの国へ飛んで行ってしまう。そう、まるで映画のような音楽なのだ。自分で、作曲やカセットデッキでのレコーディングのまねごとを始めた頃のボクに、とてつもなく強い影響を与えてくれました。

細野晴臣、矢野顕子、南佳孝、徳武弘文、稲葉国光、矢野誠、林立夫、佐藤博、駒沢裕城、そしてもちろんムーンライダース....。とんでもないミュージシャンたちがたくさん参加して、なんと半年もかけてレコーディングされたという、贅沢な「架空の映画主題歌集」とでも言うべきか。歌だけじゃなくて、後ろの演奏に特に耳を傾けるようになったのも、このアルバムのおかげ。いま聞き返せばそんなに音数が多いとは思わないけれど、当時はヘッドホンで聴いていると、次から次へといろんな楽器の音が浮かび上がっては消え、浮かび上がっては消え...興奮しました。

はっきり言いましょう。このレコードには「火の玉ボーイ」が住んでいて、見知らぬ国やあなたの隣の家の庭を駆け巡っているのです。そして、もしあなたがこの世界をちゃんと覗き込んだなら、そのときからはあなたが火の玉ボーイです。人生が変わるレコードなのです。
よい旅を。
幸運を祈ります。
[PR]
by copain-eiji | 2004-06-28 01:12 | ■CD


<< 「戦争のつくりかた」 ピエール・バルー「サ・ヴァ・サ... >>