カテゴリ:■CD( 13 )

ジョアン・ジルベルト 「Joan」 (1991)

a0030240_12175123.gif1. 僕のサンバ
2. 私の道
3. ホジーニャ
4. マラガ
5. 或る女
6. かわいそうなハート
7. You Do Something To Me
8. 不幸の予感
9. モーホのアヴェ・マリア
10. サンパ
11. 君は微笑みかけた
12. 愛のわすれもの


ボサ・ノヴァの創始者のひとりと言われるジョアン・ジルベルト。ミルトンと出会う少し前に「O Amor, o Sorriso e a Flor」というアルバムを見つけて買った。ジョアンについては何も知らなかったけれど、なぜ買ったかというと「ワン・ノート・サンバ」という曲が収録されていたから。何かの音楽フェスティバルに出演したアントニオ・カルロス・ジョビンのステージをTVで見ていたらこの曲を歌っていたのだが、その作曲のアイデアに衝撃を受けたのだ。メロディっていうのは上下に動いて初めてメロディなんだろうとなんとなく思っていたので、ずーっと同じ音が続いて曲が成立するなんて考えてもみなかった。そして同じ音を繰り返すメロディの後ろでコードが下がっていくという不思議な感覚。そう、ボサ・ノヴァとの出会いはやはりジョビンだったのだけど、その頃ピアノ音楽はあまり好きじゃなかったので、買ったのはギタリストのジョアンのアルバムだったというわけ。

このアルバム「ジョアン」は1991年に発表されたもので“ジョアン対オーケストラ”と言っていい。これがスゴイんです。決してオーケストラが脇役になることなく、ジョアンのささやく歌とギターと対等に張り合っているかのようです。ひとりでギターと歌だけでも、それぞれが絡み合いときに対立するかのような緊張感を生み出し、それが彼の魅力の大きなひとつだと思いますが、それが薄れてしまうことなく、余計にスリリングな世界を演出しているのは驚きました。こんな音楽は初めて聴いたんです。アレンジはクレア・フィッシャーという人。詳しくは知らないけれど、すごい人です。アート・ペッパーとかプリンスとかとも競演しているらしい。近いところでは小野リサのアルバムにも参加してました。

18歳で一度ジョアンに出会い、その一枚だけをずっと聴いてきましたが、このアルバムで再び出会ったのはとても大きいことでした。「ジョアンはひとり(の演奏)でいい」という意見もわからなくはないですが、ひとりのジョアンが好きな人ならなおのこと、このスゴさはわかるはずです。
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by copain-eiji | 2005-05-19 12:19 | ■CD

ミルトン・ナシメント「Travessia(トラヴェシア)」 (1967)

a0030240_23363378.gif1. トラヴェシア
2. トレス・ポンタス
3. 信じる心
4. イルマォン・ジ・フェー
5. 塩の歌
6. 風車
7. モーホ・ヴェーリョ
8. ジラ・ジロウ
9. マリア、ミーニャ・フェー
10. 十月


自分の生まれた年にどんな出来事があったか、どんな曲が生まれ聴かれていたのか、ボクにはとても興味がある。ブライアン・ウィルソンがアルバム「スマイル」の制作を断念したのはこの年の春で、ボクの生まれる直前までビルボードのシングルNo.1に座っていたのはヤング・ラスカルズの「グルーヴィン」だったし、その翌週のアルバム・チャートのトップには「サージェント・ペパーズ」が登場...

と、どうしてもアメリカ・イギリスを中心に見るとそういうことになるわけだけれど、ブラジルでもうれしいことが起こっていました。この年、テレビ局の主催する国際ソング・フェスティバルで2位(トラヴェシア)と4位(モーホ・ヴェーリョ)を獲得しデビューが決まったアーティストが、ミナス・ジェライス州出身の若者、ミルトン・ナシメントだったのです。

ミルトンの声を初めて聞いたその瞬間から、聴いているこちらがどこか遠くへ飛んで行ってしまいそうな、宇宙へまでも連れて行ってくれそうなその声の虜になりました。“ブラジル音楽の宝”と言われるミルトンとボクが出会ったのは、実はムーンライダースのアルバム「ヌーベル・バーグ」。ライダースはこのアルバムの最後の曲として「トラヴェシア」に新しい日本語詞をつけて歌っていました。オリジナルとは全く違う歌詞で、もちろんボーカルもミルトンではなかったわけですが、ライダースが歌うその曲から最初に受けた印象と後で少しずつ知っていったミルトン自身の魅力とは驚くほど一致していたのです。それは、曲自身が持つ魅力のなせるわざだとボクは信じていますが、そんな魅力をたたえた曲、ボクの心を捕らえる「曲」にブラジル人のアーティストのものが多いのは偶然ではないと思います。アントニオ・カルロス・ジョビンはもちろん偉大ですが、ボクの心の扉を開いたのはこのミルトン、そしてほぼ同時期に出会ったジョアン・ジルベルトでした。このふたりに出会ったことが、その後かけがえのないアーティストたちとの出会いへと導くものだったとは、18歳のボクはまだ知りませんでした。

歌謡祭での入賞から、ミルトンの長年の夢だったアルバム制作の道が開かれ、そして出来上がったのが昨年初めてCD化されたこのアルバム。若さいっぱいのミルトンの才能が満ち溢れています。このアルバムのためにプレゼントされた、ミルトンの友人たちからの言葉を紹介して終わりましょう。
『ミルトンの音楽は美しく、真面目で、静かだ。まるで彼自身のように。』エドゥ・ロボ
『ミルトンは常に、僕にとっては明らかに、僕より遥かに偉大なミュージシャンだ。』カエターノ・ヴェローゾ

しばらくの間、ブラジル人のアーティストを紹介することにします。
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by copain-eiji | 2005-05-11 00:59 | ■CD

Brian Wilson 「I Just Wasn't Made For These Times」 (1995)

a0030240_15481374.gif1. Meant For You
2. This Whole World
3. Caroline, No
4. Let The Wind Blow
5. Love And Mercy
6. Do It Again
7. The Warmth Of The Sun
8. Wonderful
9. Still I Dream Of It
10. Melt Away
11. 'Till I Die

ブライアン・ウィルソンのソロ2作目は、ビーチボーイズから9曲と、1作目のソロ・アルバムから2曲を選んだセルフ・カバー・アルバム。同名のドキュメンタリー映画のサントラとして制作された。

他のブライアンのアルバムと決定的に違うのは、サウンドは極力シンプルに、バンドのスタジオ・ライブっぽい音になっており、コーラスもブライアンの多重録音はなされていない。ブライアン・ウィルソンの偉大さが語られるとき、その魅力は「スタジオでの実験的なサウンド作りと緻密なコーラス・ワーク」だと言われることも多いけれど、このアルバムでハッキリと認識できるのは、それらの要素を除いても桁違いに美しく魅力的な「曲」そのものだ。むしろ、シンプルにすることで余計にそれを浮かび上がらせることに成功している。ヴォーカルの巧さや声の素晴らしさも、全盛期のそれと比べたら雲泥の差なのだけど、それが決してマイナス要素になっていない。それがこの人のヴォーカルのマジックとも言えるけれど...。

表現の手法として、このプロダクションは大好きだ。感情を込めて歌う、心の機微をサウンドや歌詞で表現する...どれも大切なことだけれど、最近はどうも“わざとらしく、派手に表現すること”ばかりがもてはやされているような気がする。街でもTVラジオからも、そういう音楽ばかりを聴かされるのは悲しい。「わびしさ」を歌うのに、「○○○のようなわびしさ...」と表現することをダサいと思わない人には、このアルバムはひたすらツマらないものなんだろうな。

プロデューサーのドン・ウォズという人の、ブライアンに対する愛と尊敬が、このアルバムを貫いている。そこには当然「勘違い」の可能性もあり得るわけだし、そのためにこのアルバムをあまり評価しない人たちもいるようだけれど、ブライアンにとっては純粋にうれしかったのではないだろうか。彼のこの後の完全復活のために、この企画が果たした役割は決して小さくなかった、とボクは思う。「美しい」音楽です。
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by copain-eiji | 2005-03-31 15:54 | ■CD

The Beatles 「With The Beatles」 (1963)

a0030240_17311057.gif 1. It Won't Be Long
2. All I've Got To Do
3. All My Loving
4. Don't Bother Me
5. Little Child
6. Till There Was You
7. Please Mr. Postman
8. Roll Over Beethoven
9. Hold Me Tight
10. You Really Got A Hold On Me
11. I Wanna Be Your Man
12. Devil In Her Heart
13. Not A Second Time
14. Money (That's What I Want)

いきなり「イッウォンビーローングイェッ!」とノドを締めたシャウトで始まるこのアルバムは、ビートルズの2枚目のレコードでデビューアルバムの8ヶ月後に発表された。

(1)曲目の「ノリ」はいまだに不思議だ。ジョンのサイドギターはほぼ聴こえなくて、ドラム+ベース+リードギターの3ピースだけの演奏なんだけど、ヴォーカル&コーラスと合体するとトテツもない曲になってしまう。
ビートルズに教わった大事なことのひとつにイントロがある。と言っても(1)はイントロなしのシャウト、(2)ではギターコードがひとつ「ポロン」となるだけだが、チャンチャカチャカ...という前奏に乗って登場し、おジギして歌い始めるという歌謡曲の世界しか知らなかった少年には、それだけで十分インパクトがあった。必要ない、ただついてるだけのイントロなんかはいらないんだということ。
(3)もイントロはなく、ポールのヴォーカルでいきなり始まる。これは曲がいいのはもちろんだけど、演奏で言えばリズム・ギターがすべて。3連でひたすらかき鳴らすギターをマネしてずいぶん練習したものだ。
(6)みたいな、誰も知らないような名曲を取り上げるのもビートルズの得意技。この曲に限らないけれどジョージ・ハリスンのリード・ギターはセンスよすぎ。若いクセに。
(7)も他人(マーヴェレッツ)のカバーなのに、ビートルズのカバーの完成度の高さは他の誰をもしのぐ。この曲をビートルズで聴くのは好きだけど、他の歌手のはボクは絶対に聴きたくない(Carp...sファンのみなさんゴメンナサイ)。
しかし(8)はカバーなんだけど、ヴォーカルがジョージだからだろう、たいへん隙があってよろしい。この熟れてない感じがジョン+ポールの完璧さの中に入ると、とってもいい味になるのだ。
(10)はそのジョ−ジとジョンがデュエットしているのだが、このコンビがまた絶妙だ。普通ならジョンとふたりで歌うならポールなんだけど、この曲はジョンの下でハモルからだろう、たぶんビートルズでただ一曲のこのふたりのデュエット。これもミラクルズのカバーだけど最高。

このアルバムから一曲だけを選べと言われたら(誰も言わないけど)ボクは間違いなく(12)を選ぶ。ドネイズという無名の女性グループのヒットしなかった曲のB面に入っていたというこの曲。ビートルズが取り上げなければ本当に誰も知らない曲だっただろうに...。ジョンとポールという史上最強のコーラス隊を従えたジョージのぎこちない歌い方がバッチリはまっているカワイイ曲だ。そしてポールの(リヴァプールなまりなのか?)「シーズガッタデヴリナハー」の歌声が女の子たちのハートをワシづかみにしてもなんの不思議もない。
(13)はジョンお得意の「彼女にもてあそばれる男のわめき」ソング。なんでジョンはこういう歌詞ばっかり書いてたんだろう? 死んじゃってからは「愛と平和の使者」みたいな言われ方ばかりしてて笑っちゃうんだけど、本当はジョンってこんなヤツなんだゼってのは、こういう歌にあらわれてると思う。
(14)はまたもやカバーで、秀逸なのはわかるけどボクにはイマイチぴんと来なかった曲で、それはいまだに変わらない。「まずは金くれよっ!」ってジョンが使ってたジョークだけど、この曲から思いついたのかもしれない。

今回は別段言うこともなくて感想だけなんですが、順番とか迷ってる間にどんどん時間は過ぎるし仕事も追っかけてくるし、とにかくアップしちゃえ!ということです。ビートルズに限らず、だいたい好きなアーティストは全部好きになるので...。もうちょっとこまめにアップしたいもんです。さて次は誰でしょう?
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by copain-eiji | 2004-12-21 17:32 | ■CD

Brian Wilson『Smile』(2004) 大傑作!

a0030240_1447792.gif1. Our Prayer / Gee
2. Heroes And Villains
3. Roll Plymouth Rock
4. Barnyard
5. Old Master Painter / You Are My Sunshine
6. Cabin Essence
7. Wonderful
8. Song For Children
9. Child Is Father Of The Man
10. Surf's Up
11. I'm In Great Shape / I Wanna Be Around / Workshop
12. Vega-Tables
13. On A Holiday
14. Wind Chimes
15. Mrs. O'leary's Cow
16. In Blue Hawaii
17. Good Vibrations
18. Heroes And Villains (Inst.)
19. Cabin Essence (Inst.)

 このページ、タイトルは「音楽遍歴」なんだけど、ただ感想や批評だけを書いてもわからないかと思って、紹介を書き始めると、それだけで終わっちゃいそうになるので、その辺がジレンマです。これからは、なるべく紹介は簡潔にしようと思ってます。わからない人で、知りたいという人は質問してください。
さて、今回は遍歴というタイトルからは少し離れます。なぜなら、これは新作だから。

 ブライアン・ウィルソン。彼が深く傷つき、音楽活動から離れるだけでなく、まっとうな人間としての生活からも離れてしまった、そのキッカケとなったのが、1967年に発表されるはずだったアルバム、『スマイル』を完成させられなかったということだった。以来、『スマイル』は伝説となり、巷に流れた数え切れないほどのうわさ話や海賊版が、その火に油を注いだ。そして、それは永遠に伝説で終わるだろうと、誰もが思っていた。その伝説の『スマイル』が、37年後になって、ほぼ当時と同じ構成、同じサウンドで制作、完成され、発売された。

 ボク自身は、ほとんど海賊版を耳にしたことがなかったので、ほぼ純粋に新作として聞くことができた。その感想は最後にとっておいて、ここはひとつ質問。「37年前にこれが発売されたとしたら、キミはこのアルバムを気に入ったか?」。もちろん1967年はボクの生まれた年だから、当時聴くことはできなかったんだけど、ではもしビーチボーイズと出会った16才の頃にこれを聴いていたらどうだったか? と考えてみる。答えはたぶん「ノー」だ。断言はできないけれど、きっと理解することは難しかったと思う。ビーチボーイズと契約していたレコード会社「キャピトル」のスタッフたちが、そして身内であったはずのビーチボーイズのメンバーたちが、このアルバムの音楽の素晴らしさと意義を十分理解できず、結果としてブライアンに敵対するようになってしまったのも、仕方がなかったかもしれない。16歳のボクも、ポップスに対して「自分の既知の感情を刺激して、感動を与えてくれるもの」としての音楽を求めていたように思う。ではなぜ、今だったらこのアルバムを「傑作!」と言えるのか。

 このアルバム、とにかくボクが夢で歌うとき、そして夢見心地でひとりで勝手に延々と鼻歌を歌っているときの音楽(サウンド)そのものなんです。ボクにとって、これはまさに「夢」であって、『スマイル』というタイトルで完璧にOK。記録するなんて思わずに歌った鼻歌は、本当にその場限りで忘れてしまいます。歌ったそばから忘れちゃう。でもそれが、本当にその瞬間に自分から生まれた音楽(サウンド)なんです。多くの人は「鼻歌」っていうと、一本のメロディだと思うようなんですけど、少なくともボクの中では違います。たぶん、音楽を作っている人たちの多くはそうだと思いますが、ボクが鼻歌を歌う時は、バックにはあらゆるスタイルのバンドやオーケストラも居るんです。必要な編成のバックミュージシャンが瞬時にあらわれて、演奏してくれるのです。そんなことが現実に起きたら、絶対にスマイル顔になりますよ。

 歌詞は、これも敬愛するヴァン・ダイク・パークスの手によるもので、ほぼ全編にわたって難解です。でも、これは左脳で理解するべき歌詞や音ではないのですから、心配することはありません。すべての音楽の歌詞に対して無頓着ではいけないと思うけど、左脳ばかり使っていたら、右脳や左半身の手足は使えなくなりますよ。ちょっと最近、脳が疲れているという方、この『スマイル』を試してみたらいかがでしょうか。

ブライアンが、当時このアルバムを完成させられなかったのは、ドラッグのせいで精神が破綻したからだとか、壮大になりすぎた音楽やアイデアをまとめられなかったんだとか、いろいろ言われています。ボクの個人的な感想を言わせてもらうと、それらはたぶん結果として出たもので、根本的な問題は、彼を理解しようと努め、励まし、支える人がいなかったからじゃないかと思います。頭の中で鳴る、まだ誰も扱ったことのない音楽を産み出すには、それだけのエネルギーが必要なのです。それとは逆の、いわゆるセオリーで編み上げただけのような音楽は、ボクは嫌いです。そこには、音楽と、それを人に与える神さまへの愛が感じられないからです。世の中に、愛のある音楽がもっともっとあふれてほしいと、切に願います。
(結局、紹介も長くなってしまった)
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by copain-eiji | 2004-11-27 14:47 | ■CD

Maranatha! Music 「The Everlastin' Living Jesus Music Concert」(1971)

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1. Little Country Church .. Love Song
2. In Jesus Name .. Selah
3. Something More .. Blessed Hope
4. Two Roads .. Country Faith
5. Holy, Holy, Holy .. All Groups
6. The Shepherd .. Gentle Faith
7. Behold, I Stand At The Door .. Debby Kerner
8. If You Believe .. The Way
9. Maranatha .. Love Song
10. For Those Tears .. Children of the Day

アメリカのキリスト教界でいう“ジーザス・ムーブメント”の中から生まれた音楽を記録した、最初期のアルバムのひとつ。入信したヒッピーたちが多数集っていた教会「カルバリー・チャペル」で、ひとつのレコード・レーベル「マラナサ・ミュージック」が生まれ、その記念すべき最初のレコードとして発表されたのがこれです。

このレコードとの出会いは1982年、1年間だけ居候させてもらったお宅で、聞かれずに置いてあった数枚のレコードを見つけました。そのうちの一枚がこれだったのです。

タイトルには「コンサート」とついてますが、実際はスタジオ録音盤です。こういうタイトルのライブを続けていて、その延長で録音されたんじゃないかと思います。教会で行なわれていたコンサートに出演していたいろんなグループが、1曲ずつオリジナル作品を披露しています。中には、あまり好きじゃないサウンドのグループもありますが、いわゆるウェスト・コースト・サウンドのグループいくつかが中心となっていて、ボクにとってはこのアルバムが“アメリカン・ロック”との出会いだったと言えます。洋楽はずっと聴いてたけど、いわゆる売れ筋のアメリカン・ロック・バンドは好きじゃなかったので、日本の一般的な洋楽ファンのみなさんとはこの辺の感覚がズレてます。

このムーブメントの中心であったグループ「Love Song」のメンバーChuck Girardは、元ホンデルズで活躍した人。たくさんの名曲を書き、後にクリスチャン仲間でもある西海岸のスタジオ・ミュージシャンたちを起用したソロ・アルバムも発表しています。そんなミュージシャンには、バッファロー・スプリングフィールドやポコのメンバーだったRichie Furay、スティーリー・ダンやコイノニアで活躍し、矢野顕子などのレコーディングにも参加していたギタリスト、Dean Parksなどがいました。もうひとりの中心メンバーはTom Coomes。この人はその後、マラナサ・ミュージックの看板シリーズである「プレイズ」のプロデューサーとして活躍します。ボクはそのシリーズのアルバムで、参加してるコイノニアのメンバーたち(Abraham Laboriel、Alex Acuna、Harlan Rogers、Hadley Hockensmithなど)や、すばらしいシンガー・ソングライターたち(Terry Clark、Teri Desario、Walt Harrah、Lenny LeBrancなど)を知りました。この辺のアメリカのクリスチャン・ミュージックとの出会いがなければ、ボクはいまのような形では音楽をやっていなかったでしょう。偶然の、けれど重要な出会いでした。

このアルバムは、アマチュア・グループが集まってお互いの音楽を楽しんでいる様子が伝わって、微笑ましいです。当時の写真を見ると、教会の地下チャペルで一生懸命演奏するミュージシャンたちと、石の床に座り込んで熱心に演奏に耳を傾ける聴衆との間には、ステージと客席という壁がないことがわかります。ステキな音楽とそれを創られた神さま、演奏する人と聴く人、幾重にも愛が渦巻いているようです。そんな場所を夢見て、自分もここまで来れたと思っています。
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by copain-eiji | 2004-10-14 15:07 | ■CD

小川美潮 「小川美潮 +2」 (1984)

9/17(金)のライブは、ヴァイオリンの高橋香織さんの初リーダーライブでした。祥子の日記にもあったように、ボクらのお目当てはバックの3人。でも3人以外にもピアノ+ハモンド+ピアニカの吉森さんもよかった。

まずドラムの仙波清彦。邦楽/仙波流の家元でもある師は、芸大邦学部在学中に、パーカッショニストとしてフュージョンバンド、“スクエア”でデビュー、その後スタジオ・ミュージシャンとして膨大な数のセッションに参加。“はにわ...”というバンド数種のリーダーでもありました。「和風駄楽器」奏者の第一人者として、今も迷奏中です。ボクは実はパーカッションよりも、彼の叩くドラムが大好きです。

ギターの板倉 文は、テクノ全盛期にバンド “チャクラ” でデビュー、“キリング・タイム”で変幻自在摩訶不思議ぶりをさらに充実させ、CMや映画音楽も多数手がけながら、いまだに正体不明のセッション・ギタリストで通しているのは素晴らしい。どこへ行くのかわからない刺激的なギター、ボクは大好きです。

そしてヴォーカルの小川美潮。“チャクラ”でデビュー後は、セッション・ヴォーカリストとして“Wha-ha-ha”、“はにわ”、“キリング・タイム”、“本田俊之ラジオクラブ”ほか多数で活躍。CMでも、「すぐっ、そこっ、サンクスっ!」とか歌ってたりします。その個性的な声は、聞けば一瞬でわかります。

で、重要な出会いは小川美潮がきっかけだったので、彼女の最初のソロ・アルバムを紹介します。

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1. お〜い
2. 行っといで
3. 時計屋
4. ポテトロイド
5. おかしな午後
6. 光の糸、金の糸
7. 花の子供
8. これからのむこう (ボーナス・トラック)
9. へんなかさ (ボーナス・トラック)


1〜7までがオリジナル・アルバムの収録曲。最近のCD化で、翌年に出たシングルが追加収録されてます。ムーンライダースの白井良明がプロデュースだったことから、ボクはシングルの方を最初に聞き、その後でアルバムを購入しました。

シングル 「これからのむこう」 で感じた、小川美潮というアーティストの魅力、そのひとつは彼女の書く歌詞でした。(作曲はムーンライダースの鈴木慶一)

『生まれた ところへ ワタシヨブコエ
 帰ろう 帰りたい いちばんはじまりまで』

『おもしろいね 朝の空も夕暮れも燃える赤
 はじまりの色と 終わりの色はおんなじなの』

『次から次へ吹いてゆく この風のように
 わたしは旅をくりかえす これからのむこうへ』

 (「これからのむこう」より)

ボクはこの曲と出会うまで、日本語でこんなにポジティブな思いを抱いた歌詞を聞いたことがありませんでした。それを彼女のユニークな声が完璧なものにしています。自分が歌うための、自分が生きていくための歌詞を書き、歌っている人だ!、という感動とともに、小川美潮という才能と出会いました。その感触に確信を持ち、すぐにアルバムを手に入れました。

アルバム全体というよりは 「おかしな午後」 という一曲によって、小川美潮はボクの中でますます特別な存在になりました。この曲は、作詞:小川美潮、作曲:板倉 文というチャクラ・コンビ。当時は板倉 文という人についてはほとんど知りませんでしたが、これで 「いい曲を作る人だ」 と、認知しました。この曲の場合は、歌詞というより【曲】がポジティブなんです。「これからの...」の歌詞で感じたものと同じものが、この曲にはありました。曲はここに載せられないので残念ですが...。

この2曲と出会っていなかったら、現在ボクが作る音楽はもっと悲観的なイメージに根ざしたものになっていたと思います。そういう音楽に惹かれていましたし、当時のボクの中から自然に生まれてくるのは「暗い」ものばかりでしたから。だからこの2曲、そして小川美潮と板倉文のふたりとの出会いは、「ボクの音楽」にとっては大きな事件となりました。

「おかしな午後」は後年、映画『つぐみ』の主題歌としてもう一度レコーディングされています。
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by copain-eiji | 2004-09-26 07:33 | ■CD

斉藤由貴 「AXIA アクシア」 (1985)

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1. 卒業
2. 石鹸(シャボン)色の夏
3. 青春
4. フィナーレの風
5. AXIA 〜かなしいことり〜
6. 白い炎
7. 上級生
8. 手のひらの飛行船
9. 感傷ロマンス
10. 雨のロードショー


衝撃的な出会いがいつだったのかはわからない。でもその “衝撃” は今でも覚えている。それは一本のCMだった....。

『ごめんね いままで黙ってて
 ホントは彼がいたことを...』

「AXIA」という名のカセットテープのコマーシャルで、この曲がTVから流れてきたのだ。ほんの十数秒だったろうから、ホントにこの部分くらいしか流れていなかったろう。でもそれだけで十分だった。背中で聞いて、ハッと振り向いて、しばらく止まってしまった。メロディと声と、そして言葉が頭から離れなくなってしまった。やがてそれが「斉藤由貴」という新人アイドル歌手だということがわかった。その数ヶ月前に「卒業」というデビューシングルが出ていて、TVにも出ていたはずだから、きっと彼女のことは知っていたはず。曲も聴いていたはず。でもこの曲をCMで聴いた日が、ボクが斉藤由貴に出会った日だった。

この曲のタイトルは「かなしいことり」。銀色夏生(ぎんいろなつを)という、当時は作詞家として活躍してた人(女性)の作詞作曲です。ある日TVを見ていた彼女は、「青春という名のラーメン」という名のカップラーメンのCMに出ている斉藤由貴と遭遇。“あの子を見てたら曲ができたので聞いてください”と、事務所にテープが送られてきたそうだ。普通レコード会社はそんな曲は取り上げないが、とにかくその曲に普通でない“チカラ”があったことは間違いない。結局それはレコーディングされ、CMに使われ、デビューアルバムのタイトル曲になった。ボクはそのTVCMで、斉藤由貴と銀色夏生という、ふたつの才能と同時に出会ったことになる。

『いつまでもこうしていたいけど
 帰れないけど帰るわね
 これから誰を愛しても
 ふたりは胸が痛いのね』 

と続き、

『やさしい言葉とため息で
 そっとわたしを責めないで...
 やさしい言葉とため息で
 そっとわたしを捨てないで...』

と、この曲は締めくくられる。
とても褒められるシチュエーションではないし、実際そんなことがあっちゃぁ困るよっていう世界だ。でもそれが良い悪いということではない。この曲を聴くボクにできるのは、ボクはそういうことが起り得る世界に生きているんだという、架空の現実を受け入れることだけだ。歌詞もメロディもアレンジもそれを歌う声も、もちろん全部の要素がひとつになった結果なんだけど、なぜそんなにこの曲にチカラがあるのか、今もって納得できる説明ができない。わかるのは、銀色夏生と斉藤由貴、このふたりの出会いがなければこの名曲は生まれなかったということだけだ。本当にいい曲というのはそれでいいのかもしれない。やたらとわかったような解説をされるよりも、そちらのほうが曲にとってもしあわせなことのような気がする。

デビュー曲の「卒業」は、詞:松本 隆、曲:筒美京平という、泣く子も黙るコンビの作。これはプロとして “さすが” の出来映えです。が、アルバムのあとの曲はまぁ、あまりお勧めしません。そういう意味で、これは典型的なアイドルのLPレコードだったのです。しかし、次のアルバムからは怒濤の名作が続きます。斉藤由貴本人が作詞でかかわり始め、少しずつプロデューサー的な役割も担っていったことと同時に、制作のために集められたアーティストたちが、斉藤由貴というキャラクター(素材)に惹かれて、彼女だけが歌うべき、完成度の高い作品を提供するようになったからです。これはもちろん、プロデューサー長岡氏を中心としたスタッフの功績なのですが、彼らにその道筋を確信させるものとしたのは、この「かなしいことり」だったと信じています。
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by copain-eiji | 2004-09-12 17:15 | ■CD

The Beach Boys 「All Summer Long」 (1964)

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1. I Get Around
2. All Summer Long
3. Hushabye
4. Little Honda
5. We'll Run Away
6. Carl's Big Chance
7. Wendy
8. Do Your Remember
9. Girls On the Beach
10. Drive-In
11. Our Favorite Recording Sessions
12. Don't Back Down
(Bonus Tracks)
13. All Dressed Up For School
14. Little Honda (Alternate Take)
15. Don't Back Down (Alternate Take)

ビーチボーイズの通算6枚目のアルバム。とにかく彼らも素晴らしく「いい曲」が多いので困りますが、一般的なイメージとしても受け入れやすく、アルバムとしての完成度も高い本作から紹介します。全米1位を獲得した「I Get Around」、ホンデルズのバージョンでトップ10に入った「Little Honda」、同名映画の主題歌で、日本では山下達郎がカバーしたことでも人気の「Girls On the Beach」など、名曲がたくさん入っています。

個人的に特に好きなのは、後年の映画「アメリカン・グラフィティ」で印象深く使われた、まさに映画的な曲「All Summer Long」。いろんなシーンがあらわれては消え、とイメージさせるような歌詞と、エンドタイトルにピッタリの曲。これが若干21歳の若者が作る音楽か!? 

ビートルズが、ジョン・レノンとポール・マッカートニーというふたりが切磋琢磨してお互いの才能を開花させていったのに対して、ビーチボーイズはリーダーのブライアン・ウィルソンが、いろんな作詞者と共同作業することでイメージを膨らませていったとはいえ、基本的にひとりで突き進むスタイルでした。ブライアンは、アイドル・バンドとしてイメージを固定し安定した収益を得たいレコード会社と意見が食い違い、やがて対立するようになりますが、この天賦の才を万全のバックアップで世に送り出せなかったのは、現代アメリカ音楽史上で最大の失敗だったと言っていいでしょう。

もう一曲紹介しなければならないのは、シンプルな中にも若者特有の苦悩を見事に描いた「We'll Run Away」。つまり、“駆け落ちしてやるぅっ!”っていう歌なんですが、恋に翻弄されている心の状態を、これほど音楽として描ききった曲をボクは知りません。幼稚ではあるんですが、一応若者なりに考えてはいるんだっていうことが、エンディングのラインでは音楽的にも“オチ”になっています。ビーチボーイズの中ではあまり話題にならない曲ですが、彼らの魅力のひとつを最大限にあらわしているこの曲を聞き逃す手はありません。1分59秒、一瞬も気を抜かずにお聴きください!

当時は発表されず、ボーナス・トラックとしてCDに収録された「All Dressed Up For School」もビックリ仰天!です。この曲を聴くと、当時のブライアンが、ビートルズなど同世代のミュージシャンとは一線を画すアレンジ力を持っていたことがハッキリとわかるでしょう。こんなカッコいい曲がなんでボツになっちゃったの!?

あなたがビーチボーイズ初心者だとしても、イメージを大きく外れることなく、きっと満足いただけるアルバムです。
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by copain-eiji | 2004-09-07 17:00 | ■CD

ビートルズ「プリーズ・プリーズ・ミー」(1963年)

a0030240_141418.gif1. I Saw Her Standing There
2. Misery
3. Anna (Go To Him)
4. Chains
5. Boys
6. Ask Me Why
7. Please Please Me
8. Love Me Do
9. P.S. I Love You
10. Baby It's You
11. Do You Want To Know A Secret
12. A Taste Of Honey
13. There's A Place
14. Twist And Shout

ビートルズはもうさんざん語り尽くされていますが、「音楽遍歴」というからには外すことはできません。ボクなりに語ってみます。

リバプールという地方都市の若者たち。やがてイギリス全国、そしてアメリカ、全世界へと人気を広げていったビートルズの、これはその旋風が吹き荒れる直前にレコーディングされたデビュー・アルバム。たった一日、約10時間で録音されたというのが今から考えれば驚異です。ジャズのレコードじゃあるまいし...。

14曲中、6曲は他アーティストのレパートリーからのカバー曲。カバー曲が多いのはこの時代のバンドでは普通のことで、このカバー曲がどれも見事に自分たちのモノになっている点にビックリさせられる。他人の持ち歌を自分のものにするのはとっても難しいんです。(10)や(14)などは日本のTVでも頻繁に使われるので、聴いたことがある方も多いでしょうが、もう完璧です。

ボクの注目は、(3)の「Anna (Go To Him)」。アーサー・アレキサンダー(Arthur Alexander)作のこの曲は、このレコーディングと同年(1962年)に発表されたもの。誰よりも早く取り上げたかったのだろうか。そんな自信があったと思わせるのは、ジョン・レノンのボーカル。バックの演奏はほぼアレキサンダーのバージョンと同じ。しかしボーカルが違う。違うのは細かい歌い方とかもだけど、とにかく格が違う。なぜ二十歳そこそこの若造の歌が、こんなにも自信に満ちていて、カッコいいのだろう。しかもこのレコーディングの日、ジョンは風邪をひいていて、鼻声で歌っているのだ。許せない。

ボクにとってのビートルズの魅力のおそらく半分以上は、ジョン・レノンのボーカルである。ジョンの歌のカッコよさは、ただの巧さでは説明がつかない。自分の歌が情けないことと無関係ではないだろうが、ボクは歌の天才に(あくまでもボクがカッコいいと思う人だけだが)めっぽう弱い。楽器ならなんとかなるけれど、歌がうまいのは、もう“卑怯”だと思う。ジョンの、若さいっぱいの魅力にあふれたボーカルがストレートに聴ける、ビートルズの初期作品が大好きなのだ。

ビートルズがアレキサンダーの持ち歌のカバーで公式にレコーディングしているのはこの「Anna」だけだが、デビュー前のライブやラジオ出演時を含めると他に3曲カバーしている。特に「Soldiers Of Love」という曲はジョンのボーカルの魅力を引き出すのにもってこいだ。アルバム「Live at BBC」で聴くことができる。
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by copain-eiji | 2004-07-27 01:05 | ■CD