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DVD『SMILE』 ブライアン・ウィルソン(2005)

a0030240_1352497.gif すでにCDで紹介した「スマイル」ですが、その後2枚組のDVDが発売されました。Disc1はドキュメンタリーで、おもに1967年の「スマイル」製作断念に至る内幕から、2004年の「スマイル・コンサート」のための作業をする姿、そして感動のロンドン初演を終えるまでが収められています。Disc2ではその「スマイル・コンサート」の模様を見ることができます。なんといっても貴重なのはDisc1のドキュメンタリーです。

 ここでは「スマイル」の製作断念の理由を、ブライアンがハッキリと語っています。本人の口からそれを聞くことができて、初めてスッキリしたというファンは多かったはずです。周囲の理解や協力を得られないばかりか、あらぬ疑いをかけられたり噂を流されたり、そして最高傑作となるはずだった作品を完成させられなかったということに打ちのめされてしまったブライアン。完成を急かされるプレッシャーに加え、人のことを悪く思ったり言ったりすることが嫌いな彼は、そのすべてを自分の中に押し込め、結局は彼自身が崩壊してしまったのです。

 忌まわしい記憶を恐れて「スマイル」から遠ざかっていたブライアンですが、新しい仲間たちとの作業の自然な流れの中で、再び製作に着手することになります。しかしロンドンでの初演を終えるまでの日々は、過去の記憶との壮絶な戦いを経なければならず、見ているこちらが辛くなります。コンサートを終えたブライアンは「やっと悪魔から解き放たれた」と語ります。「スマイル」製作前のたった一度のLSD服用時から、幻聴に悩まされていたのだと、ドラッグの恐ろしさもキチンと証言しています。

 近年のビーチボーイズのドキュメンタリーで、マイク・ラブが「スマイルはドラッグから生まれたもので、美しいものでもなんでもない。」と言っていたのを、きっとブライアンも聞いたのでしょう。「スマイル」復活には、その発言が真実でないことを証明したかったという気持ちもおそらくあったのだと思います。時間をかけて産み出し練り上げた作品を、「ドラッグの産物でしかない」などと言われたら、そんな悲しいことはありません。過去のしがらみを吹き飛ばして歌いきり、作詞のヴァン・ダイク・パークスと抱き合う姿は、涙なしでは見れません。
めでたしめでたし...。
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by copain-eiji | 2006-03-02 13:53 | ■映画+TV