1. Our Prayer / Gee
2. Heroes And Villains 3. Roll Plymouth Rock 4. Barnyard 5. Old Master Painter / You Are My Sunshine 6. Cabin Essence 7. Wonderful 8. Song For Children 9. Child Is Father Of The Man 10. Surf's Up 11. I'm In Great Shape / I Wanna Be Around / Workshop 12. Vega-Tables 13. On A Holiday 14. Wind Chimes 15. Mrs. O'leary's Cow 16. In Blue Hawaii 17. Good Vibrations 18. Heroes And Villains (Inst.) 19. Cabin Essence (Inst.) このページ、タイトルは「音楽遍歴」なんだけど、ただ感想や批評だけを書いてもわからないかと思って、紹介を書き始めると、それだけで終わっちゃいそうになるので、その辺がジレンマです。これからは、なるべく紹介は簡潔にしようと思ってます。わからない人で、知りたいという人は質問してください。 さて、今回は遍歴というタイトルからは少し離れます。なぜなら、これは新作だから。 ブライアン・ウィルソン。彼が深く傷つき、音楽活動から離れるだけでなく、まっとうな人間としての生活からも離れてしまった、そのキッカケとなったのが、1967年に発表されるはずだったアルバム、『スマイル』を完成させられなかったということだった。以来、『スマイル』は伝説となり、巷に流れた数え切れないほどのうわさ話や海賊版が、その火に油を注いだ。そして、それは永遠に伝説で終わるだろうと、誰もが思っていた。その伝説の『スマイル』が、37年後になって、ほぼ当時と同じ構成、同じサウンドで制作、完成され、発売された。 ボク自身は、ほとんど海賊版を耳にしたことがなかったので、ほぼ純粋に新作として聞くことができた。その感想は最後にとっておいて、ここはひとつ質問。「37年前にこれが発売されたとしたら、キミはこのアルバムを気に入ったか?」。もちろん1967年はボクの生まれた年だから、当時聴くことはできなかったんだけど、ではもしビーチボーイズと出会った16才の頃にこれを聴いていたらどうだったか? と考えてみる。答えはたぶん「ノー」だ。断言はできないけれど、きっと理解することは難しかったと思う。ビーチボーイズと契約していたレコード会社「キャピトル」のスタッフたちが、そして身内であったはずのビーチボーイズのメンバーたちが、このアルバムの音楽の素晴らしさと意義を十分理解できず、結果としてブライアンに敵対するようになってしまったのも、仕方がなかったかもしれない。16歳のボクも、ポップスに対して「自分の既知の感情を刺激して、感動を与えてくれるもの」としての音楽を求めていたように思う。ではなぜ、今だったらこのアルバムを「傑作!」と言えるのか。 このアルバム、とにかくボクが夢で歌うとき、そして夢見心地でひとりで勝手に延々と鼻歌を歌っているときの音楽(サウンド)そのものなんです。ボクにとって、これはまさに「夢」であって、『スマイル』というタイトルで完璧にOK。記録するなんて思わずに歌った鼻歌は、本当にその場限りで忘れてしまいます。歌ったそばから忘れちゃう。でもそれが、本当にその瞬間に自分から生まれた音楽(サウンド)なんです。多くの人は「鼻歌」っていうと、一本のメロディだと思うようなんですけど、少なくともボクの中では違います。たぶん、音楽を作っている人たちの多くはそうだと思いますが、ボクが鼻歌を歌う時は、バックにはあらゆるスタイルのバンドやオーケストラも居るんです。必要な編成のバックミュージシャンが瞬時にあらわれて、演奏してくれるのです。そんなことが現実に起きたら、絶対にスマイル顔になりますよ。 歌詞は、これも敬愛するヴァン・ダイク・パークスの手によるもので、ほぼ全編にわたって難解です。でも、これは左脳で理解するべき歌詞や音ではないのですから、心配することはありません。すべての音楽の歌詞に対して無頓着ではいけないと思うけど、左脳ばかり使っていたら、右脳や左半身の手足は使えなくなりますよ。ちょっと最近、脳が疲れているという方、この『スマイル』を試してみたらいかがでしょうか。 ブライアンが、当時このアルバムを完成させられなかったのは、ドラッグのせいで精神が破綻したからだとか、壮大になりすぎた音楽やアイデアをまとめられなかったんだとか、いろいろ言われています。ボクの個人的な感想を言わせてもらうと、それらはたぶん結果として出たもので、根本的な問題は、彼を理解しようと努め、励まし、支える人がいなかったからじゃないかと思います。頭の中で鳴る、まだ誰も扱ったことのない音楽を産み出すには、それだけのエネルギーが必要なのです。それとは逆の、いわゆるセオリーで編み上げただけのような音楽は、ボクは嫌いです。そこには、音楽と、それを人に与える神さまへの愛が感じられないからです。世の中に、愛のある音楽がもっともっとあふれてほしいと、切に願います。 (結局、紹介も長くなってしまった)
by copain-eiji
| 2004-11-27 14:47
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