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Brian Wilson 「I Just Wasn't Made For These Times」 (1995)

Brian Wilson 「I Just Wasn\'t Made For These Times」 (1995)_a0030240_15481374.gif1. Meant For You
2. This Whole World
3. Caroline, No
4. Let The Wind Blow
5. Love And Mercy
6. Do It Again
7. The Warmth Of The Sun
8. Wonderful
9. Still I Dream Of It
10. Melt Away
11. 'Till I Die

ブライアン・ウィルソンのソロ2作目は、ビーチボーイズから9曲と、1作目のソロ・アルバムから2曲を選んだセルフ・カバー・アルバム。同名のドキュメンタリー映画のサントラとして制作された。

他のブライアンのアルバムと決定的に違うのは、サウンドは極力シンプルに、バンドのスタジオ・ライブっぽい音になっており、コーラスもブライアンの多重録音はなされていない。ブライアン・ウィルソンの偉大さが語られるとき、その魅力は「スタジオでの実験的なサウンド作りと緻密なコーラス・ワーク」だと言われることも多いけれど、このアルバムでハッキリと認識できるのは、それらの要素を除いても桁違いに美しく魅力的な「曲」そのものだ。むしろ、シンプルにすることで余計にそれを浮かび上がらせることに成功している。ヴォーカルの巧さや声の素晴らしさも、全盛期のそれと比べたら雲泥の差なのだけど、それが決してマイナス要素になっていない。それがこの人のヴォーカルのマジックとも言えるけれど...。

表現の手法として、このプロダクションは大好きだ。感情を込めて歌う、心の機微をサウンドや歌詞で表現する...どれも大切なことだけれど、最近はどうも“わざとらしく、派手に表現すること”ばかりがもてはやされているような気がする。街でもTVラジオからも、そういう音楽ばかりを聴かされるのは悲しい。「わびしさ」を歌うのに、「○○○のようなわびしさ...」と表現することをダサいと思わない人には、このアルバムはひたすらツマらないものなんだろうな。

プロデューサーのドン・ウォズという人の、ブライアンに対する愛と尊敬が、このアルバムを貫いている。そこには当然「勘違い」の可能性もあり得るわけだし、そのためにこのアルバムをあまり評価しない人たちもいるようだけれど、ブライアンにとっては純粋にうれしかったのではないだろうか。彼のこの後の完全復活のために、この企画が果たした役割は決して小さくなかった、とボクは思う。「美しい」音楽です。
by copain-eiji | 2005-03-31 15:54 | ■CD


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